大阪が再びダウンした、緊急事態宣言だ。要請すると国が審査して発令するというまだるっこしさだ。政府は要請を受けて宣言するだけで府民に対応を求めるのは府知事、首相はお願いなど決してしないシステムさ、まったく変だね、政府は雲の上にいる人のようだよ。厚労省だかの役人が寄席に来て営業自粛を求めたそうだ。無観客がベストです、もし客を入れるなら会話は控えて、大声で笑ったりしないように…寄席は不可能だと返答した。大臣から折り返し電話がありそれではいけないと、仕方なくついに休業したそうだよ。客は娯楽を失い、寄席と噺家は暮らしを失ったが大臣役人は?寄席など興味がありません、でしょうね。

 バス通りの空き地が工事中、場所柄コンビニかと思ったら無骨なコンテナボックスが並べられた。厳重な鍵がかかっていて中はうかがえない。しかし通りかかるとつい耳をすましてしまう、中から音が聞こえたらどうしよう。扉が閉められると中の世界は暗黒になる、そのまま忘れられてしまう恐怖、絶望までは一歩しか離れていないよ。助けを求める泣き声、苦しそうな息遣い、扉を叩く音もやがて弱っていきついに静寂になるんだ。
 コンテナに収納する荷物は季節で変わるそうだ。夏はストーブとスキー、冬には扇風機とアウトドア用品、いくら密封しても思い出が忍び出るのさ。笑いさざめく、歓声をあげる、そして幸せのため息、まるでゴーストさ。仏壇一切を収納している人もいるそうだ。こっちから聞こえてくるため息は死者のものさ。縁者に伝えたいこともあるのだろうが不恰好な重い扉で封じ込めてしまう。それでこちら側は安穏な生活ができるのさ。

 ツツジの花が鮮やかに咲いているけれど透明感やはかなさはない、ツツジ見物なんていっても歩いて通り過ぎるだけ。山に登りなさいミヤマツツジがしおらしく咲いているよと言われても、はいとうなづいても体力がなければ見には行けないだろう。
 こんもりと地面に盛り上がっているツツジにはトンビがよく似合うなんて、それは少しかわいそうかな。ずっと満開なのもしぶといね。花言葉は節制禁酒だって、やはりツツジで一杯なんてのはできそうもないや。

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