オミクロンがじわじわと迫ってくるが感染者はまだ一桁台だ。北京冬季五輪も迫ってくるが千人台の感染者がいるので手荒く封じ込めをしている。危機感に便乗するようにアメリカは五輪ボイコットを図って世界に同調を求めた。ウィグルの人権問題が理由だ。企業もそろって同調する、参加しないと風評で非買運動をされるからだ。 
 噂の日大理事長が逮捕された。独裁者で金に汚く何億という現金を自宅に隠していた。コロナのニュースが減った分、ふてぶてしい理事長の顔がテレビ画面を独占する、見たくもない。 

 吹きさらしのオープンテラスに置いてある木の丸テーブルが目に留まった。幾何学模様が彫り付けてある。掃除をしていた娘が笑いかけてきた。 
「まだ開店前なんですよ」 
 よかった、客だったら断られるところだ。 
「骨董ですね、たぶんイギリスの」 
「あら知らなかった、バス通りの古道具屋で売ってもらったんです。デザインが気に入ってしまって」 
「二股の棒を一緒にくれませんでしたか」 
「よくご存知ですね、額に入っています」 
 テーブルターニングさ、日本のコックリさんと同じだ、棒はダウジングといったかな。 テーブルに座って、あなたが男ならコツと一回、女ならコツコツと二回音を聞かせてください、それで応答があったら質問を始める、恋愛でも賭け事でもイエスなら一回ノーなら二回、予言が的中するというのだが。 
 棒を両手で水平に支えて歩いていく。宝物があるところにくると棒がビクっと動く。イギリスの神秘さ。 
「なにか異変がありませんか、夜になるとコツコツ音がしませんか」 
 聞いてみたかったがやめた。閉店の時には室内にしまうだろうし、夜間は無人だ。そんなことを説明すれば相手は令和の若者だから、エッすごい、インスタ映えします、すぐブログで発信します、きっとイイネがいっぱいつくわ、ラインつながりになってください、そうだお名前を伺わなくては、ホームページに紹介してもいいですよね。 
 とんでもないことだ。 
「この店は繁盛しますか、イエスは一回、ノーは二回」 
 コツコツ 
「店は来年まで続きますか」 
 コツ 

  柿の実の赤いスダレは季節を感じさせる。だから渋柿を買ってきて干す、美味しいから熟すそばからむしって食べる、みるみる無くなるので第2スダレを作る、このくらいで食べ飽きる。最後のいくつかは冷蔵庫の中で身をもち崩してしまう。 
 柿の後は大根だ、切干にするハリハリ漬にする、自家製はおいしいよ。ステーキの厚さに切って油で焼く、もちろん定番のブリ大根やたっぷり柚子味噌を乗せた風呂吹きは論外だ。寒風、陽光、乾燥がなければできないことだ、まさか柿も大根もその時を待って成熟するのではあるまいね。 
 立派な大根が二本で100円だって、農家もげっそりしているだろうね。なぜ安いのかって、悪いのはみんなコロナのせいだって。

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