とうとうアメリカが日本を旅行中止国にした。世界8割程度を対象にすると4月に発表していたのだけれど、五輪がらみで日本をどうするかをあいまいにしていたのだ。けれど日本でワクチン接種が進まず感染者が増加しているので業を煮やしたんだろう。選手は大統領は来るのかな、フランス大統領は必ず行くと表明したが考え直すかもしれない。中国習主席も様子を見ているがこちらは日中関係のもつれだ、当然、韓国大統領は来ない。北京五輪をボイコットしようと欧米が呼びかけている。日本も中国も正念場が続いていて浮き浮きした気分にはなれないよ。オモテナシが感染で諸国の手土産が新種株では洒落にならないから。
コロナが心配だって駅までは遠いからバス停には人が待っている。男が一人、顔は平凡だがオーラがある。服は上等だがくたびれている、洒落た靴だが傷んでいる。お医者さんかな、これから病院に出勤して手術をして患者を切り裂き血だらけにする。もしかすると医者の一歩後をいく葬儀屋かな。殊勝な顔で葬儀を行い棺桶に釘を打ちつける。
俳優さんかな、ちょっと顔をねじるとはっとする魅力がありそうな。今は舞台が軒並みキャンセルだから生活が苦しいだろう、若手は宅配のアルバイトで食いつないでいるそうだがね。
死者もバスに乗るんだ、仕事や病院に通った生活習慣が離れないからさ。けれどカードをピッと反応させることはできないし乗車証も取れない。その代わり行列に割り込んでも誰も文句は言わない、見えないんだから。残念ながらシルバーシートは譲ってもらえない。
バスが来ても男は乗らない、それは不思議でない、ここには二系統のバスが来るのだから。チャラチャラした服装の若者が前を通った、男は少しだけ身を引いた。若者は紙片を落とした(ように見えた)男はそれを拾って握り締めた(ように見えた)、顔を上げて信号を見るように額に手を当て紙片を読み取った(ように見えた)スパイか組織の一員か公安か誰なのか(どうでもいい)
今晩は皆既月食だ、夜8時前後というから良い時間だ、どうやら天気は大丈夫らしい。今年は梅雨が早くて長引くという。ホタルも見ていない、出ているかどうかの情報がないのだから。去年はせっかく晩酌を自粛して見にいったのに。三密で納豆のような人間関係は洗い流され皆が枝豆のようにカラにこもっている。若い人へには辛かろうね、仲間と荒っぽく過ごすのが青春だからさ。
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