クルーズ船飛鳥でコロナ感染だ。連休の北海道クルーズを中止して横浜に戻ってきた。会社も客も懲りないね、といってもクルーズしなければ倒産だからさ。旅行会社は軒並み人員削減、代理店閉鎖、ボーナスなしだ。どこが儲けているかって?ゲーム関係・宅配関係は抜群だ。自動車・家電・食品も喜んでいる。まことに金は天下の回り物だね、豪雨で川が氾濫し薪屋が乞食になり乞食が薪屋になったという江戸の笑い話を思い出したよ、ごめん、笑い事ではないよね。
ペットが逃げた、電柱に写真や絵が貼ってある、探してくださいという子どもの文字、昔からあったな。それが今回はニシキヘビ、体長4メートル近く、子どもなど楽に呑みこむ、コロナ禍、気分が変わるニュースだよ。もちろん飼い主は子どもではない、若い男だ。大変なブーイングだが逃げたヘビを咎めることなんてできない、被害がでていないから。
こう想像するのだ、ヘビには強い使命が与えられていた。邪悪な何かが世間に跳躍している、それを駆逐できるのは南方の森の神秘の力だけ、ミッションを託されたヘビは勇躍して大いなる冒険に乗り出す。
記憶はヘビにだってあるだろう、ニシキヘビは故郷を求めてセンチメンタル・ジャーニーに出発したのかもしれない。
それにしてもヘビはペットにして可愛いのかね、それともヘビ飼いは自分だけというプライドかね、生餌は冷凍ドブネズミだというからそれほど費用はかからないだろう。
つい百年前までは見世物小屋がたくさんあってニシキヘビだトラだラクダだというのが人気者、お化け屋敷や曲芸、小芝居などの人間が演じるものより強いインパクトがあったのだろう。観客の納得度は収入に直に反映する。
「見たかいニシキヘビ!」
「いやすごいね舌をチロチロ出してね」
そんな江戸人の記憶が現代人にも潜在しているのかもしれない。ニシキヘビを身近にはべらせる、ヘビの主人になる、人には一目置かれる存在になれる。いわゆるインスタ映えがするのだ。
後日、2週間目に自宅の天井裏にとぐろを巻いていたのが捕まった。警察まで大騒ぎをしてヤブをつっついたから居心地が悪くなって古巣に戻ったらしい。自由を求めたヘビもついに安逸な不自由に甘んじることにしたとは少し切ないね。
スズランの群生地を見に行った。河口湖から山一つ越えた山の中、観光地として売り出そうとしているらしく広い駐車場をつくり街灯にもスズランの作り物を飾ったりしている。しかし早すぎた、まだツボミも出ていない。1ヶ月してからまた行った、遅すぎた、山の斜面は緑におおわれていた。もっとも花が咲いていると大変な人出だそうだ、ならこちらの風情の方がいい、そう自分に言い聞かせる、これが大人の負け惜しみさ。
百合が咲き始めている、藤もきれいだ、山菜は今が盛りだ、スズランには毒がある、これも無駄口さ。
次へ