いよいよ第7波だ、といっても緊迫感は薄いよ。京都では祇園祭を元祖疫病退散祈願だといって実施するし高校野球も平然と始まった。といっても感染者は全国で1日に18万人、医療機関も切迫しているらしい。今はBA5が全盛でオミクロンはほんの4%だけというがウィルスの栄枯盛衰は激しいね。中国は感染地区に毎日2回ずつPCR検査を強制し1人でも陽性が出れば町全体をロックアウトするウィルス以上に怖い事をやっている。

 うちの学校には七不思議があるそうだと中学生がバスを待つ間に話している。学校に怪談はつきものさ、髪の毛が浮いてくるプールとか誰もいない部屋でピアノの音、空き教室に誰か座っていてこちらを振り向いたとか、どこも同じような話だ、つまり学校給食の味わいだよ。
 真夜中に学校に行けば間違いなく不思議体験ができるよ。どの教室もぼんやり明るく見えるのは君たちが座っていた椅子が光っているからさ。元気な子は明るく、寂しい子は暗くだよ、もしチカチカ点滅しているようなら危ないね、事故に気をつけな。色だって皆ちがうんだから、イルミみたいなものさ。
 トイレから泣き声が聞こえるというのもよくある話だ。そんなことが評判になって皆が怖がるので校長先生は困ってしまった。自分でナントカしようとは思わず力自慢の体育の先生に頼んだそうだ。その先生は実家が寺でいずれ後を継ぐつもりだから、気軽にやりましょうと言ってくれた。さてその晩、泣き声が聞こえてくると先生はそちらに向かって話しかけた、お経ではないよ、生徒に指導する言葉だよ。厳しく優しく注意するとうんうんと答えが返ってきた、それっきりトイレは静かになったそうだよ、聞いた話だがね、良い先生というのは幽霊にも指導力があるんだね。
 しかし夜の校舎に入ってはいけない、アラームシステムがついているからすぐ警察につかまるよ、怒られて泣き声を出すのは君たちだ、それを見た幽霊の笑い声が聞こえてもおかしくないだろう。
 
 今年はセミの出が遅かった、といっても天変地異ではない。ようやく雨が降って地盤が緩んだから出てこられたのだろう。信州生まれの知人はこの時期になると必ずセミを食べた話をしたものだ、さっと炙って醤油をつけて熱々のうちに、だが久しく音信不通だな。そういえばお盆、でも田舎は旧盆だ。7月になると何となく期日前投票のような気分になったそうだ。

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