サル痘だってさ、アフリカのサル由来の天然痘でコロナとの関係はわからないが妙な名前だから不安をかきたてられるね。ペットのリスなどが感染して持ち込んだらしい、つまりサルは濡れ衣だ、WHOは名前を変えますと言っている。感染経路はエイズと同じようなものだから心配するなと言うのだが、そんな比較をするとLGBTにかかわってくるらしい、窮屈な世の中になったね。

 靴は左足から履く、カラスが鳴いたら凶、初物を食べたら東を向いて笑う、すりばちは当たり鉢、終わりはお開き、4は死につながるからダメ、縁起を担ぐ人はけっこういるもんだよ。でもレジ係になるのはよしなさい、合計が4444円、真っ青な顔で歯を食いしばってアリガトウゴザイマス、皆が怯えるよ。
 細かいところを異常にこだわるのがお茶の先生さ。掛け軸は上から27cm、竹釘は24cm壁から突き出す。花入れの薄板は畳の目の17番目に置く、こんなトゲトゲマンが社長だったらたまらないね。秘書はいつだって携帯塩ケースや巻尺や高島暦を持って歩かなければならない。
万歩計は勝手に歩数を計測するのだから4989歩で止まることもある、器械だからご機嫌をとっても7777歩にはなってくれない。その対策は、ぴったり縁起良い所で止まったらもう歩かないことだ。ブツブツ口の中で歩数を数えながらうつろな目をして歩いていれば皆が避けてくれるから安全だよ。時々、自分が数えた歩数と万歩計の数字が違っていたらどうしよう、信じられるのは器械か自分か、そんな煩悶の毎日だったらきっと寿命が縮まるよ。
 もし首相も大臣も縁起かつぎで左足から靴を履いたりカラスが鳴いたら道を変えたり、国際会議のパーティで初物を食べたら構わず東を向いて笑ったりすれば気味悪がられるよ。誰も日本にちょっかいを出さなくなって日本の安全保障は確実だ。めでたいめでたい、皆さんお手を拝借さあ三本締めなんて言えば会議も和やかに終わるだろうさ。
 つまり縁起を担ぐというのは一種の自己防御、専守防衛で身を守ることなんだ。憲法九条と似たようなものだね。

 ツバメが飛んでいる、遠くから海山越えて飛来してきたのだ。確かに虫が群がって飛んでいる、子どもを作り育てて十分に体力を貯えてから帰っていく。赤青黄色の花々が空を向いて虫を誘っている。こちらの種族繁栄は虫に頼っている。蜜と花粉を引き出物にして花は実を結ぶ。小さな庭だけれど命の継続の舞台になっているのさ。
 アジサイは梅雨の花なんて言うが、ぼってりと重そうな花房は少し鬱っとうしい。青とピンクを混ぜて白で濁らせて紫陽花なのかな、しかし近代にヨーロッパから移入された、日本の本来はガクアジサイだと聞いて納得した、それなら梅雨の季節にぴったりする。花言葉は移り気だが、花の色によって青は辛抱、ピンクは元気、白は寛容なんだそうだ、何やらとりとめないのが特徴なのかな。

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