まん延防止が解除になった。大阪だけは若い知事がとやかくあって皆に批判された、商売ができなければボロクソに言う土地柄さ。おおっぴらに外呑みができるようになる、そこで取捨選択、しかし、今まで付き合ってくれたセコイ店をお見限りにするのは気の毒だよ。そういえば尾身さんも任期満了だがサヨナラはしないようだ。コロナに咲いた仇花なのかね。
 年金受給者に一律10万円配ると首相は言ったがすぐ取り消した。夏の選挙対策としては早すぎたんだよ。

 こんな住宅地にも飲み屋ができたんだ、新築したばかりの一戸建ての一階さ、感動したね。この郷で店をやる人はブティックとか趣味の小物が多いのだがどこも商売にならない。それが飲み屋とはね、安倍首相の奥さんに触発されたのかな、どんな客層を想定したのだろう。
    玄関を開けると居間、台所で声がする。早かったわね、お疲れ様、おビール?まず枝豆ね、もちろん冷凍だが。こんな擬似家庭を作って家庭内別居の中年男を引き込もうとしているのかな。
    ママお客さんよ、いいわ私がお相手する、娘の桃香です、サラダを作りましたの召し上がる?お気に召すかしら。これなら高齢者まで幅広く男を呼べそうだ。
 君枝と申します祖母です、今日は切干大根を煮ましたのよ、いかがかしら。あら奥様が亡くなられて14回忌ですって、お寂しいわね。女房はあなたほどきれいではなかったって、お口がお上手、私も久しく後家だから話し相手がほしかったの。
 まだ色香の残る熟女が言う、この部屋は防音なのでカラオケができますのよ、えっ、デュエットを?久しぶり、お上手なんでしょう。ちょっとドレスに着替えていいかしら、気分を出したいから。
 西部劇のヒロインは酒場女だ、男社会だからさ、江戸の吉原も同じだった。しかし、ここは小市民の住宅地だ。たぶん疎外されている男がたくさんいると目星をつけたんだろうね。生垣にくくり付けたメニューはビール、サワーに定番のモツ煮だ、つぶれる前に寄ってみようと思ったよ。

 お彼岸なんだが天候が不安定だ。サクラはツボミ、草の花は開いているがひもじいだろうね虫も鳥も。赤白のボケの花にメジロが二羽、そばで見ているのに知らん振りで蜜を吸っている。明日は雨の予報、それを察知して必死に腹ごしらえをしている、卵を産んで子育てをしなくてはならないからね。コバエがサクラのしおれた花に群集している、種族の命を伝えてから他の虫や鳥に命を差し出すのだ。崇高だね、しかし五月蝿い。

  次へ