クルーズ船ダイアモンドプリンセス号の乗客が新型肺炎を発症したと大騒ぎになった。香港から乗船した客が感染していたらしい。船は入港禁止となり横浜沖に停留したが乗客乗員3711人うち712人が感染して13人が死亡したのだ。恐怖と悪夢の隔離生活だったろう。
 新型肺炎とか中国ウィルスとか言っていたのが新型コロナウィルスに名前が代わったよ。WHOはnCOVi19と呼んだ、中国に忖度したと感じたよ、なにしろかなりの資金をもらっているからね。
日本の対策はアマビエだ、人魚みたいな妖怪で疫病を退散してくれるという、まったくお手上げだね。 

 満開の椿を見上げて50年も昔の同級生の顔を思い出した、青木光子さんというふっくらした明るい少女だった。それが結婚して椿光子さんになった、そこまでは知っている。
 見上げていると老女が来て立ち止まった。ツイッと花に手を伸ばしチュッと蜜を吸いポイッと落としてこちらも見もせずに歩き去った。樹下に落ちているたくさんの花の中には蜜を吸われた抜け殻が混じっている、そう思ってギョッとした。
 深夜になると黒いコートの老女がやってくる、花をつまみあげてトートバックに入れる。そして何やらつぶやいて一つ一つの花を枝に差すとピッとはまるのだが、密を吸われた抜け殻の花は落ちてしまう。それをいとおしそうに体に押しつけるんだ。
「見たな」
 老女が椿色の唇からしわがれた声で叫ぶ。コートを脱ぎ捨てると胸も背中も腹にもたくさんの椿の花がくっついていてまるで満開のようだ。老女が高々と笑うと椿の花も一緒になって嘲笑する。
こんな情景は見たくないだろう、だから深夜の散歩は自粛しよう。

 今朝もすばらしい青空だ。墜落する飛行機から見る青空だ。または漂流している時にサメの背びれが近づいてきた絶望の青い空。心地よい風、二十四聖人を包む炎も最初はこんな涼風だったのさ。縁起でもないことばかり言うのかって、記憶は人伝いに残るのさ、だから人間は記憶を反芻しなければならない。
 SNS、ツィッター、インスタ、フェイスブック、手段は多様化したが人に聞かせたくなるようなことは余りない、だからそれを探す、面倒なら創ればいい、物騒な世の中さ。
 そのDNAを造ったのは神様だから終わりの日も用意されているのかな
 
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